生命は継続的な外界からの燃料の取り込み(栄養摂取)による物質合成(同化経路)および物質分解(異化経路)そして外界への廃棄物の放出(老廃物の排泄)からなるサイクルにより物質、エネルギーを連続的に交換し、エントロピーを外界へ排出することでその秩序を維持する非平衡開放系である。我々は生命の代謝サイクルから着想を得て、生体分子を燃料として生き物のようにはたらくハイドロゲルの実現を目指した研究に取り組んでいる。
本研究では多重論理ゲートに基づいて酵素や生理活性物質などの生化学的シグナルに自律的に応答するインテリジェントなラジカル重合を確立し、特定の細胞や小器官内選択的な機能性高分子の合成により細胞機能を操作する革新的な方法論として提案する。本技術のコンセプトの拡張・深化により学理を究めると共に応用例を実証する。将来的には社会に質する技術として、疾患治療・診断・組織工学への応用を目指す。

(上)がん細胞膜上に近接して発現する異種酵素を標的として相乗的にがん細胞を阻害するポリマーリガンドの開発に取り組んでいる。
(下)ナノメディシン間の生体直交性クリック反応をトリガーとしたキャリアの構造崩壊を伴う薬剤徐放により効果的かつ選択的に腫瘍へ薬物を送達する技術への応用を目指す。
Back to Top